コーヒーの歴史
コーヒー豆の起源地は伝説の地エチオピア、又は中部アフリカあたりともいわれていますが、飲み物になったのは14世紀にアラビア半島にあるイエメンからと言われています。そして、15世紀あたりからアラブ世界に広まったとされています。しかし、まだこの時代のコーヒーは成熟した果実を柔らかく煮たものを食べたり、上澄みを飲むといったものでした。煎ったコーヒー豆を使用するようになったのは1450年頃のペルシャで、長い柄のついた大型のスプーンでコーヒー豆を焙煎して、粉に砕いて煮出して飲むようになったと伝えられています。1510年には、エジプトのカイロに伝わり、現在のコーヒーハウスのように人々がコーヒーを飲む憩いの場も出来はじめたそうです。17世紀にはコーヒーはヨーロッパに入り、最初のコーヒー店が1645年にイタリアのベネツィアでオープンし、その後10年でロンドンやパリにコーヒーハウスが次々にオープンしました。18世紀にはヨーロッパにコーヒー文化が浸透し定着していきました。この頃には、コーヒーを薬だと思って飲んでいた人はいなくなっており、お酒に近い大人の飲み物、嗜好品として愛飲されていました。
日本におけるコーヒーの歴史
日本で最初にコーヒーを口にしたのは、織田信長であるとか、豊臣秀吉であるといった説もあるが、記録に残っているのは、江戸時代末期の長崎出島で当時の貿易に関係した人が飲み始めたのが最初という説が一般的です。安政4年、オランダ使節の主任医師として来日したカール・ピーター・ツインベルクは、『日本人は茶と日本酒を飲むだけで、ブドウ酒も飲まないし、ヨーロッパ酒造家のつくる美味いアルコール飲料も飲まない。2、3の通訳のみがコーヒーの味を知っているくらいのものだ。』と語っていたそうです。そして、その出島に持ち込まれたヨーロッパの医学書の中に、コーヒーの効用が書かれていたそうです。江戸時代末期の1855年、蝦夷地へと渡った津軽藩士らに、幕府はコーヒー豆を支給したそうです。その時の函館奉行の通達に、日本人が初めてコーヒーの効用を活字にした記録が残っています。『和蘭コーヒー豆、寒気を防ぎ湿邪を払う』と、薬効を説き『黒くなるまでよく煎り、細かくたらりとなるまでつき砕き、二さじ程を麻の袋に入れ、熱い湯で番茶のような色にふり出し…』と、飲み方まで指南しています。また、福岡の太宰府天満宮の古文書の中には『寛政9年(1797年)6月19日、長崎の井出要右衛門が、かひぃ一包と砂糖一包を奉納す。(紅毛人の飲みせなる煎茶なり)』という文献も発見されています。正式な記録では、1877年(明治10年)にコーヒー約18tが輸入されたという記録があります。その後、輸入量が100tを超えたのが1913年、輸入が自由化されたのが1960年、現在では輸入量も30万tを超え、コーヒーは誰もが楽しめる国民的飲料となっています。