東ティモール
マウレフォ11
ティピカ&ハイブリッド・デ・ティモール
ウォッシュド

timor-lester maulefo11 tipica & hibrido de timor washed

植物学上のコーヒー

このコーヒー品種ハイブリッド・デ・ティモールの説明をする前に、まずは、コーヒーの植物学上のコーヒー種の説明とコーヒーの歴史の話を少しだけしなければなりません。

コーヒーの木は、被子植物門・双子葉植物綱・アカネ目・アカネ科・コーヒーノキ属に分類され、2亜属(コフィア亜属とバラコフィア亜属)103種に分けられています。その103種の中の【アラビカ種】【カネフォーラ(ロブスタ)種】【リベリカ種】 は、コーヒー3原種と呼ばれたりしています。世界で栽培されているコーヒーの約80%は【アラビカ種】、約20%が【カネフォーラ種】だと言われています。この2種が世界のコーヒー流通量の約99%を占めています。【リベリカ種】は、コーヒーのサビ病に極端に弱く、現在は世界の生産量の1%未満です。このコーヒー3原種を含む103種のコーヒーの栽培の過程で、変異種の発見や品種改良が行われた結果としての分類が栽培品種です。【アラビカ種】に分類されるティピカやブルボンなどが、この栽培品種になります。つまり、一般的に流通しているコーヒーの品種と呼ばれている部分は、この栽培品種に当たります。

【アラビカ種】は、200以上(2大アラビカ種といわれるティピカやブルボンなどを含む)の栽培品種があるエチオピア原産のコーヒー種で、コーヒーノキ属の中で唯一の染色体(DNA)の数が44のコーヒー種です。高品質だが、高温多湿の環境には適応せず、霜害に弱く、乾燥、コーヒーのサビ病に弱い。

【カネフォーラ種】は、1895年に発見されたサビ病に強いコーヒー種で、[ 強靭 ]を意味する[ Robust ]からロブスタ種と一般的には言われ、【アラビカ種】以外の他のコーヒー種と同じく染色体(DNA)の数が22のコーヒー種です。病虫害に強く、高温多湿の気候にも適応できるが、高品質とは言い難い。

救世主ハイブリッド・デ・ティモール

 まだ世界中で【アラビカ種】しか栽培されていなかったと言ってもいい時代の1861年、アフリカのビクトリア湖の周辺で世界で最初に発見されたコーヒーのサビ病は、1869年にスリランカに渡り、インド、インドネシア、アフリカへと、感染が爆発的に広がりました。特に、スリランカ、インド、インドネシアは壊滅的な被害を受けます。その後、スリランカのコーヒーは紅茶の栽培へと切り替えられた程です。インド、インドネシアは、1895年に発見されたサビ病に強い【カネフォーラ種】を積極的に栽培し始めました。しかし、この【カネフォーラ種】は優れた耐病性を持っていたものの、【アラビカ種】ほどの香味上の優れた品質は持ち合わせていませんでした。

timor-lester maulefo11 tipica & hibrido de timor washed 壊滅的な被害を受けたインドは国を挙げて【アラビカ種】と【カネフォーラ種】の交配実験を繰り返します。染色体(DNA)の数が44の【アラビカ種】と染色体(DNA)の数が22の【カネフォーラ種】を掛け合わせると、染色体(DNA)の数が33の子が生まれ、種子(タネ)のないコーヒーの実が出来てしまいます。これは、タネなし葡萄などを作るのと同じ原理です。コーヒーの豆はコーヒーのタネなので、タネのないコーヒーの実では意味がないのです。1950年頃からは、各国協力の下で耐サビ病の品種の研究が行われます。その時、エチオピアから集められた野生種の中に【ゲイシャ】もあったと言われています。そんな中、ポルトガル領であった東ティモールで1927年に見つかっていた1本のコーヒーの木がサビ病に有効であることが判明します。たまたま変異して染色体(DNA)の数が44になった【カネフォーラ種】と【アラビカ種】との間で自然交配によって誕生した異種間交配種(ハイブリッド)でした。このコーヒー栽培品種こそが【ハイブリド・デ・ティモール】です。その後、東ティモールは、1975年のポルトガルから独立、2002年のインドネシアからの独立と、2度の独立と混乱期を経て、現在やっと東ティモールの【ハイブリド・デ・ティモール】を流通させることの出来る時代が来ました。この【ハイブリド・デ・ティモール】の発見により、コーヒーの品種改良は飛躍的に進歩しました。近年になって【ハイブリド・デ・ティモール】の良い部分のみを受け継いだ新しい【アラビカ種】が誕生したりもしています。【ハイブリド・デ・ティモール】は、後世の人たちが美味しいコーヒーを飲むための救世主となる可能性を秘めた品種なのです。

 【ハイブリド・デ・ティモール】は、シッカリとした力強いボディで、飲み進めていくうちにトロッとしたコクが出てきます。苦味が少ないけれども、スッキリした苦味が強く、苦味があるけれど柔らかさを感じる不思議なコーヒーです。

救世主ハイブリッド・デ・ティモール

timor-lester maulefo11 tipica & hibrido de timor washed マウベシは標高1300~1700メートル、日中の陽射しの強さに比べて朝晩の冷え込みが激しく、年間降雨量も比較的多く、コーヒー栽培には適した場所です。東ティモールでのコーヒー栽培はポルトガル植民地時代に始まりますが、マウベシでコーヒー栽培が始まったのは1960年ごろからと比較的新しく、平均1ヘクタールあまりの小規農家がほとんどです。マウベシには約4000世帯、25000人ほどが住んでいますが、そのほとんどがコーヒーを栽培しています。このマウベシ地域に組織されたのがマウベシ農業協同組合です。そのマウベシ農業協同組合に2008年から参加しているマウレフォ集落は、急な斜面に張り付くようにしてしてコーヒーを栽培しています。フランシスコ・ダ・シルバ氏を中心とした11の農家からなるコーヒー生産者たちは、丁寧にコーヒーを育て、丁寧にコーヒーを精製し、このコーヒーを作り上げました。彼らが栽培しているコーヒー豆は、前出のハイブリッド・デ・ティモールと、2大アラビカ栽培種の1つティピカです。ティピカは、生産性はあまり高くないが非常に優れたカップクオリティーを有する栽培種で、ジャマイカのブルーマウンテンやハワイのコナコーヒーもティピカです。

テイスティング ノート

 シッカリとした力強いボディで、飲み進めていくうちにトロッとしたコクが出てきます。苦味は少なく、後口の甘味が柔らかく丸みのあるコーヒーです。力強さと柔らかさを兼ね揃えたバランスの良いコーヒーです。

甘味 ★★★★★
コク ★★★★★★
まろやかさ ★★★★★
香り ★★★★★★★
酸味  ★★ 
苦味 ★★★★

★印8段階、オススメ焙煎での評価です。

コーヒー豆 データ

生産者 マウベシ生産者協同組合
マウレフォ・グループ
代表者 フランシスコ・ダ・シルバ
エリア アイナロ県 マウベシ マウレフォ集落
品種 ティピカ & ハイブリッド・デ・ティモール
プロセス ウォッシュド
標高 1300~1700m
オススメ焙煎 中煎り